“The Creation and Destruction of Value” 価値の創造と破壊 Vol.14

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Vol.14 パワーポリティクスの重要性(第5章-4)

 多くの米国人以外の者にとって本能と逆で苛々するのは、米国の大企業が崩壊したのに何故米国が金融の安全避難地になるのか、ということである。2007年以前には、米国のビジネス周期の不安定さは1980年代初期以来低くなってきた、と一部で言われていた。しかし、この不安定さが無くなるということは、予防的な貯蓄集めのインセンティブを下げ、米国のとりわけ個人貯蓄率を下げ、結果、海外からの資本流入を集めることとなった。
 望まれたのは、金融危機が防衛予算削減をも含む財政的対応でもあったが、実際には外国資本流入に頼り続けていた。それゆえ、流入がただ滞っただけでも、米国の不安定化は始まり、外国にとって米国の安定化に寄与する政治的利益は下がり、更なる流出が起こることとなる。
 2009年初期に金融危機が悪化した際には、米国国債保有の評価額が下げられないよう或いは奪われないよう、中国首脳は保証を要求し始めた。暗に、そのような保証が無ければ、米国国債は中国にとって将来魅力的で無くなる、と脅していたのである。

参考
THE “GREAT MODERATION” AND THE US EXTERNAL IMBALANCE (PDF) | Fabrizio Perri & Alessandra Fogli @NBER
National Data – GDP & Personal Income | BEA @CommerceGov
INTERNATIONAL FINANCIAL INTERMEDIATION: DEFICITS BENIGN AND MALIGNANT – ESSAYS IN INTERNATIONAL FINANCE No. 68, June 1968 (PDF) | GEORGE N. HALM @princetonecon
China, Debt, and Influence | Conn Carroll @DailySignal


投稿者: ワールド ソルーションズ

国際的な諸問題の解決に結び付き得るよう、国際事情を少しずつ読み解きます。