“The Creation and Destruction of Value” 価値の創造と破壊 Vol.9

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Vol.9 金融革命の度合と限界(第4章-2)

 第二の技術革新は、証券が更なる証券の発行によって保証されていることである。一つの債権を細分化する過程で、債務不履行のリスクは債権の他の性質から切り離されるため、理論的には全ての証券が債務不履行しない形即ちリスク無しで購入されることとなる。また、保証人が新たな保証契約を通じてリスクを転嫁することもできるので、債務不履行の際に損害を被る可能性も低い。
 J.P.モルガンが1995年に始めたもう一つの技術革新であるCDS(Credit Default Swap)は、2008年には58兆ドルに達し、世界GDP合計の50兆ドルを抜いていた。非常に小さいリスクと頼りになる手数料のために、AIGインターナショナルやSwiss Reのような大手かつ多角経営の保険会社がこのような保証契約に魅力を感じ取り組んでいた。リスクに対応するために金融当局が定めた自己資本規制比率も結局無駄になった。2003年からの5年間で米欧の10大銀行は資産を倍増し15兆ユーロに達したが、リスク調整資産は5兆ユーロに達したにすぎなかった。

参考
Credit Derivatives Handbook (PDF) | J.P. Morgan
The Value of Risk: Swiss Re and the History of Reinsurance | Peter Borscheid, Harold James, David Gugerli, Tobias Straumann
Global Financial Stability Report, April 2008 | International Monetary Fund


投稿者: ワールド ソルーションズ

国際的な諸問題の解決に結び付き得るよう、国際事情を少しずつ読み解きます。