Ireland アイルランド Vol.2

記事3件をご紹介します。

1. With Brexit, Ireland can’t keep up with flood of U.K. passport applications | @Quantanamo @MarketWatch では、Brexitを受けてイギリス国民からのアイルランドのパスポートに関する問い合わせ等がアイルランドの郵便局等関係各所に殺到している旨書かれています。
 理由は、第一に、EU域内での労働の自由と域外を含めた172ヵ国へのビザ無し又はアライバルビザ取得による旅行の権利(Holders of an Irish passport would have the freedom to work anywhere within the 28-member union and have the right to “visa-free or visa-on-arrival” travel to 172 countries around the world…)、第二に、アイルランド国民は国内在住でなければアイルランドには所得税を納めなくても良いという制度(Irish citizens are only liable for Irish income tax if they are resident there — as opposed to the U.S. citizen who is responsible for U.S. income tax regardless of their residence…)、とのことです。
 実際、イギリス国民の四分の一にはアイルランドの血が混じっており、関係のあるイギリス国民はアイルランド国民になるのは制度上少し易しいようです(If you were born outside Ireland to an Irish citizen who was born outside Ireland, you are entitled to become an Irish citizen, even if your parent derived Irish citizenship through marriage, adoption or naturalization and he/she was an Irish citizen at the time of your birth. If one of your grandparents is an Irish citizen who was born in Ireland, you may also become an Irish citizen, the Irish government said. If you were born on the island of Ireland…)。
 また、アイルランドと北アイルランドの “open borders” も維持されるよう努めるとも言われました(Ireland will do its utmost to protect the open borders between the British province of Northern Ireland and the Republic of Ireland after the 1998 Good Friday Agreement, which ended three decades of sectarian violence between Protestants and Catholics in Northern Ireland known as The Troubles…)。
 尤も、短中期的にはBrexitがアイルランド経済にネガティブな影響を与えると言われるなど、アイルランド経済は不透明でもあります(While economists debate whether London-based financial firms will move thousands of jobs overseas, the future of Ireland’s still-fragile economy is also uncertain…)。

2. ‘A skilled and flexible workforce’ | Brian O’Gorman @IrishTimes では、アイルランドの労働力の質及び移動可能性や英米法体系などがアメリカからアイルランドへの投資を呼び込む旨書かれています。

3. IDA Ireland Reports Strong First Half to 2016 #WhyIreland (w PDFs) | @IDAIRELAND (アイルランド政府産業開発庁) では、昨日発表された2016年上半期のアイルランドへの対内直接投資のレポートにつきツイートされています。アイルランド史上最高レベルだった2015年上半期と同レベルとのことです。PDFの一部の図表も以下添付しておきます。
Across Country
Origin of Supported Companies
Economic Impact
Across Industries
Employment

なお、ライアンChairmanからは、添付PDF一つ目の4頁目にあるとおり、2015-19年の目標として「80,000 New Jobs; 900 Investments; A 30–40% increase in investments into regional locations; €3bn in R&D expenditure」と挙げられています。
また、シャナハンCEOからは、同5ー6頁目にあるとおり、具体的実績につき、
雇用については、「2015年にはIDAの顧客たる投資者(会社)が19,000弱の雇用を産み出した。雇用純増12,000弱で2014年の7,000強と比較すると66%増である。(The ability of Ireland to grow its FDI portfolio was clearly in evidence in 2015 – IDA client companies created just under 19,000 (18,983) jobs on the ground during the year across a range of sectors, with every region of Ireland posting net gains in jobs. Net jobs were 11,833 compared to 7,131 in the same time period last year – representing a year-on-year rise of 66%. Losses as a percentage of the overall employment portfolio were at their lowest level ever.」
顧客については、「投資件数は、2014年の197から2015年には213に増えた。新たに投資を始めた会社の数は、同88から同94となった。大口の投資をしている会社としては、アップル、セージ、ユーバー、プラメリカ、ノーザントラスト、エアビーアンドビー、リンクトイン、GEヘルスケア、メドトロニック、エスエーエス、ファイザー、ワークデイ、アムニールがある。(The number of investments won during the year rose to 213 from 197 in the previous year. The number of new name investments went to 94 from 88 in the previous year. The strong net job creation performance was the result of a very strong pipeline of new investments which materialised in 2015 and lower job losses within the employment portfolio. Among the client companies making significant investments during 2015 were Apple, Sage, Uber, Pramerica, Northern Trust, Air Bnb, LinkedIn, Slack, GE Healthcare, Medtronic, SAS, Pfizer, Workday and Amneal.)」
地域については、「IDA顧客の投資により新規雇用が産み出された地域は、2014年には49%であったが、2015年には53%となった。そして、その雇用数の59%がダブリンの外である。大きな地域プロジェクトとしては、ゴールウェイ州オランモアのジマー社、コーク州ファーモイのエイベック社、ティペラリー州カッシェルのアムニール社などがある。(Particularly noticeable in the 2015 project wins, were investments going into regional locations, with all regions of Ireland showing net employment gains in the year. The percentage of new jobs going to regions in 2015 was 53%. This had increased from 49% in 2014. 59% of IDA’s client company employment is now outside of Dublin. Outstanding regional projects in 2015, included Zimmer expanding its manufacturing hub in Oranmore, Galway, ABEC Inc in Fermoy, Co Cork building an engineering base and Amneal moving into Cashel, Co Tipperary.)」
とされています。

“The Creation and Destruction of Value” 価値の創造と破壊 Vol.7

(All the below links are in English.)

Vol.7 2008年世界金融危機(第3章-3)

 第三に人の流れの減少の面である。
 2008-09年の急速な貿易の収縮においては、グローバルな相互の繋がりを縮小させることが政策として選択されたのでは決してなかったが、外国人の求職に反対する国民が英独では過半数を超えるなど国民感情の転換はあった。
 また、2008年には自国に移民が押し寄せ労働市場が崩壊し得るグローバリゼーションの時代になっており、新興国が自国のみで破綻していた1990年代よりも先進国の不安は遥かに大きく、先進国は新興国にカネ・モノ・労働力の市場において徹底した対策を要求していたが本来効果のある対策も徐々に効果的でなくなった。

(あくまで参考:The Rise and Fall of Pyramid Schemes in Albania | Christopher JervisThe Free Movement of Workers in an Enlarged European Union: Institutional Underpinnings of Economic Adjustment | IZAFact Sheets on the European Union | European Parliament

ツイッター paper.li Vol.1

All the below links are in English.

関連アカウントを発掘しつつ政治・行政・経済・経営・技術などの英語情報をネット上で選び取る第一のツールとしてツイッターを活用している弊社としては、RTした記事がcontent curation service たる電子新聞 paper.li で採り上げられ掲載されることは、選んだ記事等が概して有用と判断されていると考えて良い旨の感触を持ちます。

掲載告知が最近来なくなったため漏れもありそうですが、五月下旬から少しずつ使用している @WSjp_insight のRTによるpaper.li掲載記事を、取り急ぎ、以下のとおり貼っておきます。

Creative Matters Inc

NetherlandsinToronto

Helsinki Airport

Austrade UK

State of New York

Organic Food Maps

“The Creation and Destruction of Value” 価値の創造と破壊 Vol.6

(All the below links are in English.)

Vol.6 2008年世界金融危機(第3章―2)

 第二に、モノの流れの減少の面である。
 特に、リーマン崩壊の端緒において銀行信用が収縮し貿易金融が儘ならなくなったところ、多くの先進国では半官の金融機関が貿易保証を出せたが、同様のことをできた新興国は殆ど無かった。そのため、アジア・ラテンアメリカ諸国は、買い手が居ても先進国に輸出できなくなってしまった。そして、生産拡大のための精密機械などの輸入もできなくなり、それらを輸出していた日独の輸出は2008年第4四半期には激減した。
 そして、貿易が減ると人は貿易依存を減らそうとするという脱グローバリゼーションの悪循環に陥った。これは、理想的な防衛手法ではないにせよ、デフレーションの増殖を国境で食い止める非常に満足の行く次善の策であった。開放経済では、需要が自国の枠から漏れ外国に職を創出し税も外国政府に行ってしまう “leaky Keynesianism”(漏れるケインズ主義。あくまで参考:Fixing the Economy? Like Filling a Leaky Bucket | @TheRagBlog。)になることがあるためである。
 加えて、欧州では、通貨統合のためのマーストリヒト条約の中核である、公債発行額をGDPの3%以内、公債発行残高を60%以内とする財政ルールは、ケインズ的反循環政策(景気刺激策)を採らねばならない危機においては、放棄されねばならなかったが、それが可能な仏独と不可能な希伊葡に分かれるなど、意思決定力が麻痺してしまった(あくまで参考:Guest Post by Timothy King: Keynesian Policies Under the Fiscal Treaty | Phillip Lane @irisheconomyieGoverning hand: Philip Lane takes charge of Central Bank in recovering economy | @BeesleyIT)。

日本のガラパゴス症候群 Vol.3(産業構造 | The Information Technology and Innovation Foundation)

本稿テーマの産業構造は、ガラパゴス化と関連はあると考えますが、直接的と言うよりは間接的なものかと考えております。また、この大きなテーマは、弊社が初期段階で承る基本的業務の範囲外であるため、深くは触れません。さらに、もちろん改善改革に向けた事実抽出等のために言わざるを得ない場合がありますが、英語で(国外に向けて)日本の弱点を声高に言うのは好みではありません。他方、日本にとって良くない情報が英語で世界的に公然と日常的に出されているという重みを認識しておく必要があるように考えますので、本稿でも日本語で簡単に挙げておきます。

@ITIFdc(English) が出してから五年半経つらしい The Good, The Bad, and The Ugly (and The Self-Destructive) of Innovation Policy | Stephen J. Ezell & Robert D. Atkinson(English) 30-31頁では、「…日本は本気で非貿易分野の成長に力を入れたことがないので、日本経済の約四分の一を占め世界に名を馳せる輸出者たる製造業だけが日本では成長し、世界レベルのサービス業が存在しないことが目を引く。….輸出外需頼みの国は、輸出市場が飽和してしまえば逞しいサービス業を持つ国に抜かれ衰えてしまう『一つの芸当しかできない子馬』となるリスクを孕んでいる。」とされています。内容が正しいように感じられてしまう現状が改善され、『日本は改革されて真に強くなり、one-trick ponyではなくなった。』、と書かれることになるよう望んでおります。

日本のガラパゴス症候群 Vol.1(Shinkansen | Wharton)

Finding the Silver Bullet for Japan’s Train Dilemma | Knowledge@Wharton (English) では、”Japan has the safest rail system in the world — so why is it struggling to convince others to buy its technology?” (日本は世界一安全な鉄道システムを持っているのに、何故そのテクノロジーを買うよう外国を説得するのに四苦八苦しているのか?)という問い掛けをツイッターで掲げられ(本文第1段落で同質問がより詳細に書かれている)、本文第3段落で”…only if it can overcome some major disadvantages such as its high cost and the closed-system nature of the product.”(高いコストと他の鉄道システムへの接続不可能という閉じた性質のような短所が克服された場合にのみ…何とか輸出できるかもしれない)とされている。

第4~8段落では、外国では受け容れられない閉じた独自性たる‘Galápagos Syndrome’(ガラパゴス『症候群』)につき述べられている。
・ 左側しか走行できない日本の新幹線は左右いずれでも走行し得る外国には売れ得ない(工学院大学 曽根悟 特任教授(日本語))
・ 欧中の高速鉄道と異なり日本の新幹線が(システム全体を一括でしか売らないため)輸入国の既存鉄道システムに接続できないのは間違いなく現実の限界(a real, practical limitation)である(イリノイ大学アーバナシャンペーン校 Rapik Saat 研究助教(English))
・ とりわけアメリカでは一括システムを導入する予定の地域は殆ど無い(アメリカ中西部高速鉄道協会 Rick Harnish 上級部長(English))
・ オバマ大統領提唱のような(既存鉄道と接続する)全国高速鉄道網ではなく(新たに結ぶ)都市間鉄道(台北~高雄、メルボルン~シドニー、クアラルンプール~シンガポール、ワシントンDC~ニューヨークなど)に新幹線システムは向いている(国際高速鉄道協会 Torkel L. Patterson 理事長代理(日本語))
などが紹介されている。

反面、第9~13段落では、
・ 安全性・時刻正確性・本数、初期コストの高さを帳消しにする運用・維持コストの低さという新幹線の強み(Patterson氏)
・ 高速鉄道導入国は長期間の安全性を重視するようになる(愛知大学 土橋喜 教授(日本語))
・ 中国がアメリカ・南米・アジア向けに日欧のシステムの特徴を取り入れた低コスト高速鉄道の売り込みに盛んであり、中国政府首脳が事務方以上にテコ入れしている(交通専門家 Richard Di Bona 氏(English))
などが紹介されている。

第14~19段落では、安倍首相によるインド・東南アジアでの売り込み努力に係る説明と共に、
・ 日本から台湾への輸出は欧州基準とのハイブリッドだが大半は日本型である(ムーディーズ・ジャパン Kailash Chhaya VP・シニアアナリスト(English))
・ 高速鉄道テクノロジーを自前では持っていないアメリカが輸出先としてベストだが、果たして中国の倍の価格の日本の安全な高速鉄道を買うだろうか(曽根氏)
・ 既存の貨物や乗客用の鉄道と混合・接続するために仕様をカスタマイズする必要があるアメリカでは走行速度は下がる(Chhaya氏)
・ ダラス・ヒューストン間のように一括システムを使う地域はアメリカでもわずかである(Harnish氏)
・ カリフォルニアも混合型にする(Patterson氏)
・ ワシントンDC・ニューヨーク間を1時間で結ぶため、まず人口集積地ではないボルチモアとワシントンDCを結んでみるのをサポートする旨、日本政府は言っている((U.S.-Japan Maglev LLC 代表でもある)Patterson氏)
などが紹介されている。

第20~22段落では、
・ 有権者が国家予算の費用に相当する効用を信じていないところ、政治家は国家予算による大規模投資に係るビジョンや意欲を優先しては再選が難しく、テキサス・フロリダ・中西部・・・ペンシルバニアと多くの地域について話し合いはあったが、カリフォルニア以外は何の進展も無い(W. BRUCE ALLEN Wharton校 名誉教授(English))
・ 市場も地理も人口密度も問題では無く政治が唯一の問題であって政治が政策を敏捷に変えるのは難しい、ただテキサスでの主要プロジェクトが1930年代の高速道路の実現のように高速鉄道構築へと政策を『軽く押す』(nudge、参考:Nudging the world toward smarter public policy: An interview with Richard Thaler(English))転換点(tipping point)となり得る(Harnish氏)
などが紹介されている。