“The Creation and Destruction of Value” 価値の創造と破壊 Vol.6

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Vol.6 2008年世界金融危機(第3章―2)

 第二に、モノの流れの減少の面である。
 特に、リーマン崩壊の端緒において銀行信用が収縮し貿易金融が儘ならなくなったところ、多くの先進国では半官の金融機関が貿易保証を出せたが、同様のことをできた新興国は殆ど無かった。そのため、アジア・ラテンアメリカ諸国は、買い手が居ても先進国に輸出できなくなってしまった。そして、生産拡大のための精密機械などの輸入もできなくなり、それらを輸出していた日独の輸出は2008年第4四半期には激減した。
 そして、貿易が減ると人は貿易依存を減らそうとするという脱グローバリゼーションの悪循環に陥った。これは、理想的な防衛手法ではないにせよ、デフレーションの増殖を国境で食い止める非常に満足の行く次善の策であった。開放経済では、需要が自国の枠から漏れ外国に職を創出し税も外国政府に行ってしまう “leaky Keynesianism”(漏れるケインズ主義。あくまで参考:Fixing the Economy? Like Filling a Leaky Bucket | @TheRagBlog。)になることがあるためである。
 加えて、欧州では、通貨統合のためのマーストリヒト条約の中核である、公債発行額をGDPの3%以内、公債発行残高を60%以内とする財政ルールは、ケインズ的反循環政策(景気刺激策)を採らねばならない危機においては、放棄されねばならなかったが、それが可能な仏独と不可能な希伊葡に分かれるなど、意思決定力が麻痺してしまった(あくまで参考:Guest Post by Timothy King: Keynesian Policies Under the Fiscal Treaty | Phillip Lane @irisheconomyieGoverning hand: Philip Lane takes charge of Central Bank in recovering economy | @BeesleyIT)。


投稿者: ワールド ソルーションズ

国際的な諸問題の解決に結び付き得るよう、国際事情を少しずつ読み解きます。