“The Creation and Destruction of Value” 価値の創造と破壊 Vol.1

【国際政治経済を読み解く書籍の紹介】
“The Creation and Destruction of Value – The Globalization Cycle”(ハーバード大学出版会、2009年)ハロルド・ジェームズ著

Vol.1
 原油価格激落など経済見通しの只ならぬ不透明さが目に付く時代に、今の人々は生きています。一市民が普通に生活しているだけでも、経済についての基本的な理解の必要性を痛切に感じると言えます。
 即ち、一方で、二度の世界大戦、東西冷戦、断続的な地域紛争などを経て、科学技術は相当に、人々の意識も一定程度発達して、先の見通しが立ち易くなった面はあります。他方、大震災や原発事故、伝染病、欧州移民などの従来からの問題、 また、気候変動や水不足、テロリズムなど新たな問題も生じ、経済への影響が時々刻々出ています。結局、経済に完全な見通しや客観的な正解は無く、あくまで一定程度の見通しや理解が必要とされると考えて良いのです。
 今の経済に係る理解を深める上で避けて通れないのが、2008年リーマンショックなどを含む世界金融危機(2007年-)でありましょう。ジェームズ・プリンストン大学教授(専門:経済史)の本書は、1929年・1931年の世界大恐慌を解説した上で世界金融危機や価値・価値観の不透明さを記し、2016年になっても賞味期限が切れた感じがありません。それゆえ、抜粋してなるべく日本語に直して、今後、二十回以上に分けて本ウェブサイトに掲載することといたします。


投稿者: ワールド ソルーションズ

国際的な諸問題の解決に結び付き得るよう、国際事情を少しずつ読み解きます。